複雑運命黙示録
作家でありながら、哲学者で科学者、女たらしで非モテという相反した
性格を持ったかのフリードリヒ・ゲーテは、自らの作品「ファウスト」中で
主人公にこう言わせる。
「時間よとまれ、お前は美しい」
だが、ファウストがこの瞬間に過去をちょっと振り返ったら、すごく複雑な
気分になるのではなかろうか。
ファウストの憂鬱はゲーテの憂鬱でもあるだろう。
で、何が憂鬱だったかというと、
「何なんだ俺の人生の先のわからなさは!」
ってとこではなかろうか。ていうか普通の人そんな複雑な人生送っていない。
…本当にそうか?
いや、実のところ、現実世界ってのは単純な事柄が積み重なっているんだろうけど、
その積み重なりってのがどこまで影響を及ぼしているのか…
たとえば今日の天気が晴れだったとする。
今日が晴れであることが次の日が雨になることに与える影響ってのはどの程度あるのだろうか?
ちょっとしたことの積み重なりの連鎖がとんでもないことを引き起こしたり
する話は昔から存在していたようで、「人間万事塞翁が馬」とか「わらしべ長者」
なんてのは皆様もご存知だろう。
ゲーテの人生なんてまさに複雑怪奇。
大体何人女の子とっかえひっかえしてるんですかあんたは。
その割に結婚したのは結構遅かったりする…まぁモテる男はつらいって奴ですか?
形態学などに関してもきわめて重要な研究を行っている(このことは近々書こうかと)
ので避けて通れないわけなんだけれども。
ま、とにかく彼の人生を複雑にしていたのはパラメーターの多さであろう。
どういうことかというと、一言で言うといろいろ手を出しすぎ。
あっちへうろうろこっちへうろうろ。
そうしてあちこちでいろんなことをいじった結果、自分はもちろん周囲にも影響を
あたえることになる。
バタフライ・エフェクトという言葉がある。
北京で一羽の蝶が羽ばたいた影響がニューヨークの天気に及ぶ。
実際にそんなことがあるのか?と思われるかもしれない。
そこまで大きくなくても日常でもあれ?って体験はあると思う。
たとえばAというお店に何かを買いに行ったが、売り切れてて、しょぼんとしながら
たまたま立ち寄ったBというお店で同じものを入手できた。
で、その道、たまたま通らなかったら入手できなかったわけだ。
無論、ある程度本とかネットで調べることもできるよ。
でも、全部の情報が本やネットに載ってるわけではない。
こんな話もある。
病院のベッドを輸送しているトラックがたまたま事故にあい、ベッドが全部
ぶっ壊れてしまった。
しかしそのベッドの素材に、放射性物質が含まれてて、そのまま使ったら
大惨事を引き起こすところだった…
こんなよくわからない話だけれども、天気予報などに影響を与えるから
科学者的には考えざるを得ないのだ。
でないと正しい答えが出ないってことになる。
つまり今のままだと来週の天気なんてわかんないんですよ!
週間予報とかあたらないなぁと思われるけども、それは人間や生物の行動とか
太陽や月の与える影響、地球のマントル対流…パラメーターが多すぎる!
そんなわけで台風の進路だって完全には予測できない。
それでも大体わかるようになってずいぶん我々助かってるけど。
人生を単純にする方法はあんまり何にもしないことだね。
複雑な人生を送りたくなかったらあんまりいろんなことに手を出さない。
…でも人生のほうから複雑さをもたらしてくることがあるから困る。
ゲーテの最後の言葉は一般にはこう伝えられている。
「もっと、光を!」
かっこいいなぁおい。まるで小説のラストのようだ。
でも本当はこういいたかったのではないかという説もある。
「窓、あけてくんない?」
…ゲーテの人生って、最後まで運命に翻弄されてた、のかも。
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